2021年8月30日月曜日

オーディオデバイス増設のすゝめ

DTMを始めるには、DTM(とボカロ楽曲づくり)の始め方でご紹介したように、バンドル(付属)されているDAW(Studio One 5 Artist)も手に入るので、初音ミクNTがおすすめです。

さらに、オーディオデバイスを増設することをおすすめします。ですが、必須ではありません。ほとんどのWindows/Macマシンにはサウンド機能が標準で備わっていますので、オーディオデバイスを増設しなくても楽器音は鳴りますし、歌声も合成できます。


オーディオデバイスとは?

ざっくり言えば、音源の元です。最近ではハイレゾ音源を耳にするようになりましたが、このような高音質な楽曲を自分のパソコン環境でマスタリングできます。ただ、最近のパソコンではハイレゾ対応の音源が標準で載ってるぐらいなので、先に述べたように無くてはならない、というものではありません。

現に私のパソコンのマザーボードはmsiのZ490 TOMAHAWKで、Realtek ALC1200がオンボードサウンドとして載っています。これはサンプリングレートが192kHz(※仕様未公開のため前後の型番から想定)なので、flac形式でHDハイレゾ音源をマスタリングできるレベルです。


それでもオーディオデバイス増設は必要?

では、サウンド環境が整っているのに、さらにオーディオデバイスを増設する必要があるのでしょうか?と聞かれれば、あった方がよいと言えます。ただし繰り返しになりますが、増設しないとDTMを始められないという訳ではありません。

それでもあった方がよい、という理由は、

DAWがオーディオデバイスを占有してしまう

ことにあります。


つまり、DAWで音を鳴らしている間は、他のアプリで音を鳴らせなくなるということです。これが大した問題でなければ不要と言えます。またDAWによっては、バックグラウンド時にオーディオデバイスを解放する、というオプションもありますが、言い換えれば同時に使えないことを意味します。

グラフィックカードに例えてみましょう。ほとんどのCPUにはオンボードでグラフィック機能が内蔵されています。しかし、多くのパソコンではゲームやビデオの描画のためにグラフィックカードを別で装備しています。これはCPUに負担をかけずに、より描画性能が高いグラフィックカードに任せるようにするためです。

サウンドの場合はどうでしょう?CPUとサウンドは分かれています。つまりCPUにサウンド機能が内蔵されているのではなく、あくまでマザーボード側にサウンド機能が載っているので、CPUの負担が高くなる訳ではありません。

しかし、DAWが占有する限り、DAW以外で音を扱えなくなってしまうのです。(具体的にはDAWを開きながらTwitterで動画が流れてきても再生できない)

なので、考え方は同じです。DTM専用にサウンド処理を任せられるデバイスを用意すればよいのです。

低性能なサウンド機能を搭載しているマザーボードであれば尚更です。ちなみに24bit 48kHz以上でハイレゾ対応は可能ですが、48bit 192kHzは欲しいスペックです。


オーディオデバイスの種類

一口にオーディオデバイスと言っても形状は様々あります。

  • PCIExpress用内蔵サウンドカード
  • USB外付けオーディオデバイス(のみ)
  • USB外付けオーディオデバイス(ミキサー機能あり)

などなど。


この記事では詳しい商品説明を避けますが、私が使っているものはCreative Sound Blaster X AE-5という、サウンドカードなのに無駄に光るオーディオデバイスです。これは32bit 384kHzで割とハイエンドな性能です。

手軽にオーディオデバイスを増設したいのであれば、USBドングル型のCreative Sound Blaster Play! 3というのもありますし、ツマミや各種入出力を備えたミキサー型のYAMAHA AG03というのもあります。


まとめ

DTMを始めるのにオーディオデバイスは必要ではありませんが、あった方が何かといいよ!と思います。グラフィックはグラフィックカードに、サウンド(DTM)はサウンドカードに処理を分散させましょう。

なお、初音ミクNTで歌声をレンダリングするとき、オンボードのオーディオデバイスよりも増設したサウンドカードの方が処理が速かったのを最後に記しておきます。

2021年8月27日金曜日

ミクNTの謎成分「Voice Voltage」とは?

Piapro Studio NTで新しく実装したオートメーション「Voice Voltage」について解説します。


旧Piapro Studio(2.0)及びVocaloid EditorとPiapro Studio NT(3.0)を比べると、オートメーションパラメーターが削除・追加、また同じ名称でも性能が変更されたりと変化している部分があります。


謎のオートメーション Voice Voltage

NTで追加されたオートメーションにVoice Voltageがあります。マニュアルによると、

  • Voice Voltage:声のハリや、強さ / 弱さの成分をコントロールするエフェクタです。

とあります。


この説明を読む限りでは、旧Piapro Studioにあった、

  • Dynamics:ダイナミクス(音の大きさ、柔らかさ、クレッシェンド、ディミヌエンド)を調整します。
  • Brightness:声の高い周波数成分を調整します。値を上げると明るくきらびやかな音になり、低くすると落ち着いた穏やかな音になります。
  • Clearness:値を上げるとシャープで澄んだ音になり、下げるとこもった重たい音になります。

この3種類を合成したような効果になるのではないかと考えられます。


ちなみにNTで性能が変わったオートメーションはDynamicsで、

  • Dynamics:声の抑揚を調整します。

としか書かれていません。


通常、歌声であれば声を大きく上げていくと、声量とともに声質も変わっていきます。

ならば、このVoice Voltageでピアニッシモ・フォルティッシモ、クレッシェンド・デクレッシェンドといった音の強弱を指示できるのでは?ということで、いつもの課題曲「ドレミの歌」で実験してみました。


Voice Voltageを使った強弱の表現例

調声前

調声後

「↑ドー ↓は ドーナツの↑ドー」という感じで、さらに小節ごとに次第に強くしていきましたが、単語ごと・文節ごといずれも強弱指定に十分使えそうです。

以前記事にしたBreathinessDynamicsは抑揚(感情表現)の調声に使い、今回のVoice Voltageを音の強弱の指定に特化して使えば、より調声の幅が広がりそうです。

2021年8月25日水曜日

DTM初心者がどう(チートして)曲をつくっているのかを公開!

今回は、DTMを初めて4年の初心者が、普段どうやって曲を書いているのか?を公開します。こんな簡単でいいの?と思われるかもしれませんが、それでいいのです!!


曲作りの過程は曲によって人によって様々ある

まず、作曲のセオリーはありません、と断言しておきます。もちろん基礎的な音楽理論やら理屈はあります。が、音楽は楽しむものです。聴くのも作るのも、楽しんでいきましょう。

それを踏まえて、「だいたいこういう流れ」で曲を書く人もいれば、曲によって違う人もいます。大まかに工程を分別すると…

  • メロディから書いて歌詞をはめる
  • 歌詞から書いてメロディをはめる
  • オケからつくってメロディを書く
  • メロディから書いてオケをつくる

思いつく限りではこんなところでしょうか。私の場合は「オケからつくってメロディを書いて歌詞をはめる」が多いです。

では実際にどう曲を仕上げていくかを、順を追って書いていきます。


アレンジ(編曲)をあらかじめ決めておく

アレンジというと、曲調や音源の種類を連想しがちですが、編曲の名の通り曲の構成を指します。ポップソングにはテンプレートともいえるアレンジがあって、

  1. (サビ2)(Chorus)
  2. 前奏(Intro)
  3. Aメロ1(Verse)
  4. Aメロ2(Verse)
  5. Bメロ(Pre-Chorus)
  6. サビ1(Chorus)
  7. サビ2(Chorus)
  8. 間奏(Brige)
  9. Aメロ2(Verse)
  10. Bメロ(Pre-Chorus)
  11. サビ1(Chorus)
  12. (Cメロ)
  13. 間奏(Brige)
  14. サビ1(Chorus)
  15. サビ2(Chorus)
  16. サビ1(転調)(Chorus)
  17. サビ2(転調)(Chorus)
  18. 後奏(Outro)

だいたいこんなアレンジになってます。()は入れたり入れなかったりします。またBPMと拍子は、おそらくもっとも多い(聴きやすい)のが120前後のBPMと4/4拍子だと思います。


各パートはだいたい8小節で構成されている

Aメロを例にすると、3小節+1小節(Fill)+3小節+1小節(Fill)で構成されることが多いです。Fillというのはオカズともいいます。

全パートを網羅するのは大変なので、今回はAメロパートを課題に作曲してきましょう。


ベース音となる音を決めていく

まずは、コード進行の主軸となるルート音を決めていきます。と言っても難しく考える必要はなく、なんなら鼻歌程度で音の高低だけ思い浮かべるだけでよいです。便宜上、音階で表現しますが、

「ドー ソー ファー レー ラー ミー ソー ドー」


こんな感じでAメロの流れとなるルート音を決めました。ここからコード進行を決めていきます。最初のドはC Majorにします。

と言ってもコードってどんな音が含まれてるかわからない!という人でも、Chordman!!というアプリや、こちらのDTM環境という記事で紹介した音源には、コード音とスケールがプリセットされたものもありますので、そこから思い浮かべた鼻歌の音程に近いコードを探します。

Ample Soundのギター音源にはスケールのプリセットが登録されている

コードに直すと、

「C Major G Major F Major Dm7 Am Em G Major C Major」

がもっとも近い感じでした。むしろ雰囲気で十分です。これをAメロのコード進行にします。


仮オケのトラックをつくる

仮オケとは、必要最小限の音源だけでつくった、まさに仮のオケです。

私の場合は、Ample Sound Ample Guitar Mのストラミング(いわゆるコード弾き)かTOONTRACK EZKeys(種類が豊富な演奏パターンでピアノのオケが簡単につくれる)を使うことが多いです。

アコギの仮オケ


コード音からメロディラインをつくる

C Majorのコード構成音は「ド ミ ソ」の3音なので、この3音を使ってメロディを書きます。ここでのコツは、いきなり音を分解してメロディを書かずに、まずリズム重視で「ドー ドド ドードー ドドドドッ ドッド」のように、単音だけで書いていくことです。

次のコードはG Majorなので、同じように「ソー ソー ソソソ ソーソ」のように、メロディのリズムをだいたい決めていきます。こうすることで、そのパートの曲調や雰囲気を掴むことができるのです。

リズム重視でメロディの元を書いていく

大まかにリズムが決まったら、実際にコード音を分解して、音程の長さ(ノート)を調整しながらメロディを書いていきます。

コード音からメロディラインを作っていく

ここで重要なのは、基本はコード構成音からピックしてメロディを書きますが、そうでなければならないという決まりもない、ということです。

例えばC Majorなら「ドミソ」、G Majorなら「ソシレ」がコード構成音ですが、かと言ってこれ以外の音を使ったらダメ!というわけではありません。好きなようにメロディを並べてみましょう。


メロディラインから歌詞を当てていく

現時点では仮オケのままですが、私の場合はここでもう作詞に入ります。歌詞によってオケを合わせた方が、曲調が馴染むからです。

歌詞の単語によって音の長さを調節しながら書いていく

具体的には、歌詞と歌詞の間が空いてるところにはブレイクを入れたり、メロディとオケを合わせることがやりやすくなります。


メロディと歌詞に合わせて本オケをつくっていく

この記事では、あくまで作曲の流れを公開しているので、本オケに関しては割愛します。アコギとドラムだけを適当に合わせただけですが、それではお聴きください。

初音ミク「夏の真夜中」

思いつきで書いてた歌詞がここで役に立つとは…


まとめ

動画を多めにして公開しましたが、DTMで曲をつくるのは、実はとても簡単なのです!!必要なのは堅っ苦しい音楽理論や理屈ではなく、やってみようという気持ちです。

知識を身につけるのは後からでも遅くないですし、なんなら知らなくてもいいぐらいに思ってます。現に私は知りません。

冒頭にお伝えしたように、音楽は楽しむものです。楽しみ方は人それぞれです。

私は、自分が書いた曲と歌詞をミクさんが歌ってくれて、それを聴いてもらうのを楽しみにしています。そして、より音質や完成度などを高めたいとなったときに、理屈や理論を学べばいんじゃね?ぐらいに思います。

2021年8月22日日曜日

今さら聞けない「ポルタメント」ってなんぞ?

Vocaloid EditorにもPiapro Studioにも、ノートをダブルクリックすると出てくる設定値、


ポルタメント


これまでいじったことが無いのと、今後もいじる可能性は(私には)無いような気もしますが、直近の曲でフルオーケストラをアレンジしてて、音源のキースイッチにportamento(ポルタメント)があるんですね。

つまり演奏記号であり、どういう指示なのかを憶えておく分には損がないので、ついでに調べてみました。


ポルタメント (portamento) は、ある音から別の音に移る際に、滑らかに徐々に音程を変えながら移る演奏技法である。引用:Wikipedia


要は「変わる音のつなぎ目をこう演奏しなさい」という指示です。


初音ミクNTではどのような効果になるのか

では、音と言っても歌声となる初音ミクNTのポルタメントは、どのような効果があるのでしょうか。

極端な値を与えて違いを見てみるのが手っ取り早いので、まずはこちらの比較動画でお聴きください。

ポルタメント値の設定テスト

オフセットとは、そのままの意味でした。発音の音階が変わり始める開始位置です。

長さは、発音が変わっていく間の時間のことでした。


この動画の例のように、オフセット0ms長さ600msだと、設定したノートはかなり遅れて発音します。結果的に下の音階からだと軽くしゃくり上げる感じになります。

逆にオフセット-300ms長さ180ms(デフォルト)だと、発音の開始位置を前倒しすることになるので、少し食い気味に発音します。

さらに長さ0msにすると、音階が変わる長さが0なのでPitchカーブは直角になり、いわゆるロボ声に近くなります。


ポルタメント設定の使い道

調声方法は人それぞれなので、使えるか使えないかと聞かれれば「なんとも言えない」です。この記事のように、しゃくり上げ一つとっても方法はいくつもあります。

このポルタメントを設定しなければならないということもありませんし、現に私は設定したことがありません。デフォルトの設定値で適正だと感じてます。

ただ、音程の変わり目(つなぎ方)を指示する調声は必須なので、一つの方法として憶えておく分にはよいと思います。

2021年8月20日金曜日

ミクNTにしゃくらせたい!調声のコツ

しゃくりあげという歌唱技法があります。いわゆるピッチベンドの一種で、語尾が急に上がったり、ものすごく下から突き上げるように歌い出すのがありますね。

あまりやりすぎると、くどくなりますが、要所要所で使うとミクさんの声質ならよりアイドルっぽい歌い方にできたり、強調させたい言葉をより強く印象づけることもできます。

しゃくりの調声方法は2つありますので、どちらとも解説していきます。

しゃくり(ピッチベンド)調声の方法

  • Pitch Controlのオートメーションでラインを描く
  • 母音と子音にノートを分割して音階を分ける
この2つが主な調声方法です。

まずは「ドレミの歌」を課題曲に、譜面通り・Pitchカーブ・ノート分割でどのように違うかをまず聴いてみてください。


しゃくり上げの調声例

調声例では違いをわかりやすくするために、しゃくりあげる幅を大きくしてみました。

ボカロでなくても、このような歌い方をしているリアルな歌手はたくさんいますが、これがしゃくりです

では、実際の調声のやり方を解説します。


1. Pitch Controlのオートメーションでラインを描く

例の2番目がこの調声方法です。ミクNTでは、Pitchカーブが赤のラインで表示されるのですが、このラインを語頭・語尾で調整します。

Tabキーか画面右上の[NOTE] [PITCH]タブでPitchカーブ編集モードに入ります。そのまま赤いラインに沿って、カーブツール・ピークツールでラインを編集します。
将来、画面下のオートメーション部分で編集できるようになる予定ですが、現時点(Piapro Studio NT 3.0.3.8)では未実装です。

ピークツールの特徴は、三角形に近い形で頂点を境に元のラインに戻る性質を持っています。カーブツールの場合は自動で戻らないため、Pitchカーブがそのまま続いて元の音程からズレたままになるので、手動で元の音の位置に戻す必要があります。

また、機械的に音を変化させるので、声質も若干機械的になります。


2. 母音と子音でノートを分割して音階を分ける

例の3番目です。ご覧のように、「ドは」という言葉を「ど お お わ あ」と母音と子音を分割し、それぞれのノートを目的の音階まで直接移動させています。

しゃくらせるまでの音階を直接指定するので簡単でわかりやすく、またPitchのように声質も変化しない反面、画面のようにノートの見た目がややこしくなります。


しゃくりを使うときのコツ

よりしゃくりの効果を得るためのポイントがあります。それは、


  • 下から入った直後は上から元に戻す
  • 上から入った直後は下から元に戻す


つまり、わざと声の揺らぎを付け加えるのです。

そうすると、しゃくりの幅自体が広がるのと、しゃくりというのは、言うなれば不自然な歌い方なので、正確に元の音階にはすぐに戻りません。必ず音程を調整するために声が揺らぎます。それを表現すると、より人間的な歌い方に近づけられると思います。


以上、しゃくり(ピッチベンド)調声のコツを解説してみました。

2021年8月17日火曜日

意外と知らない?Dynamicsの使い方

Breathinessをアタックの抑揚に使う調声という記事で、発音アタック時の抑揚に使えることを書きました。

今回は、それをより効果的にするための調声方法を解説していきます。


Dynamicsを使う

調声には使用頻度が高いオートメーションなので詳しい説明は不要ですが、ざっくり言うと声量の高低に合わせて声質を若干変化させるパラメーターです。

例えば、サビ部分で盛り上げるためにDynamicsを徐々に上げる(クレッシェンド)、またはその逆(デ・クレッシェンド)という使われ方が多いかと思います。

それを、より細かくピンポイントで使うことで、より自然な発声や表現に近づけることができます。

では、実際の調声例を見てみましょう。


Dynamicsのピンポイント調声例

Dynamicsを使った調声

この例では、同じDynamicsでも3種類の調声がされています。


  1. 発声前0から発音させる
  2. Breathinessで声量が戻った後にDynamicsを上げて強調する
  3. 発声終わり際に0で発音を切る


図の1・2・3に対応していますので、順を追って説明します。


1. 発声前0から発音させる

これは発音によって入れる入れないを変えていますが、普通は人が声を出すときには、最初っから100%の声量で発音はできません。1/64分単位で0から目的の声量まで上げるようにすると、自然な声出しになります。

ただ、最初に述べたように、発音によっては言葉の出始めがこもってしまうこともあるので、発音によって調声を入れましょう。


2. Breathinessで声量が戻った後にDynamicsを上げて強調する

図では、DynamicsとBreathinessのオートメーションを、レイヤー表示で重ねています。先の記事にもあるように、三角形のラインがBreathinessによる調声です。

黄色の矢印(3箇所)に注目してください。ちょうど三角形が過ぎた後に、Dynamicsが上がっていることがわかります。

繰り返しになりますが、Breathinessでの調声とは声量を絞ってから元に戻る、なので、その戻りの際にDynamicsでさらに強調させることで、より効果が高まるわけです。


3. 発声終わり際に0で発音を切る

これも1.と同じです。また、これをやらなくても、ノートが途切れば声量は0になります

つまり自動的な声量の減少ではなく、意図的にここで発音を切りたい、または徐々に弱く(デ・クレッシェンド)し始める位置を決めたい、という調声のための使い方です。


まとめ

以上、Dynamicsをピンポイントで使う調声方法を解説しました。

ただ単に声量調整に使うのではなく、今回のように他のオートメーションと組み合わせたり、発音をコントロールするパラメーターと捉えると、また違った使い道も発見できるかもしれません。

難しいM/S処理はWaves Centerでカンタンに!

M/S処理は、マスタリングを行うときに必ず立ちはだかる壁と言ってもいいでしょう。


が、そんな難しい処理もWavesのCenterというエフェクトプラグインで簡単に行うことができます。この記事では、その使用例とともに解説していきます。


MS処理+αで、自由自在なステレオコントロールを。
Waves CENTER
SONICWIREのページに飛びます


M/S処理とは?

MはMid、SはSideの略で、PANでいえば左右と中央の音量を調整する処理、と思ってください。

ガレージロックバンドの構成を例にすると、ボーカルとベースとドラムが中央で、その他の楽器は左右に分かれます。

ベースは左右どちらかですが、ボーカルは普通は中央にいます。ドラムも中央です。ギターは正面からみて右、キーボードは左が多いでしょうか。

このように、実際に演奏している位置に合わせてPAN振りをするのが定石ですが、ベースだけは低音を中央に置いた方が音が通るので、ほぼ中央に置きます。

ですが、ここで問題が生じます。

中央に音が集まりすぎると、肝心のボーカルが埋もれてしまうのです。これを解消するために、M/S処理はマスタリングに必須な作業といえます。


ボーカルが埋もれないようにするには?

シンプルに考えれば、オケ(楽器音)の音量を下げてボーカルの音量を上げるのも一つの手です。たしかにボーカルは強調されますが、曲全体の音圧が下がってしまい、全体的に迫力に欠ける印象になってしまいます。

そこで、M/S処理なのですが、具体的にエフェクトをかけている画像がこちらです。

Waves Centerの使用例

私の場合、

  • ボーカルとオケを、パスチャンネルで物理的に分ける(VocとM/Sというトラックです)
  • ボーカルにマキシマイザーをかける(L3 UltraMaximizerがそれです)
  • オケの音量を下げる(オケによりますが、-6.0~9.0db程度です)
  • オケトラックにCenterをかけ、CENTERを下げてSIDESを上げる(ツマミの通りです)
  • マスターにマキシマイザーをかけて曲全体の音圧を上げる(L3-LL MultiMaximizerがそれです)

このようにしています。

このスクリーンショットは、いわゆるサビの部分で、ボーカルはもちろん全音源が総動員で鳴っているところなのですが、CENTERプラグインのレベルメーターに注目してください。

真ん中にある縦のレベルメーターのLとRは上がっていますが、下にある横のCENTERはほとんど発生していません。

つまり、オケとしてはLとR(SIDE)を中心に音量が出ているので、中央(CENTER)はぽっかり音の穴が空いている状態です。

その空いた音の中央にボーカルを置くことで、オケに埋もれないような状況をつくることができるのです。


ただ、このようなM/S処理であっても、マスタートラックでは音圧が下がるため、マキシマイザーとコンプレッサーをかけて、ボーカルとオケを合わせた曲全体の音圧を上げつつ音を馴染ませるというエフェクトをかけています。


もっとシンプルなM/S処理としては、マスタートラック自体に直でCENTERを入れて、画像にある使用例とは逆に、CENTERを上げてSIDESを下げる、というのもアリでしょう。


まとめ

M/S処理の方法は様々あります。

憶える点はただ一つ、曲全体の音圧を下げずにボーカルが埋もれないようにするにはM/S処理が必須、ということです。


マスタリングの際に、今回の使用例をぜひ試してみてください。

2021年8月12日木曜日

Breathinessをアタックの抑揚に使う調声

初音ミクNTのオートメーションパラメーターにBreathinessがあります。公式マニュアルによると、

声の「息っぽさ」を調整します。値を最大まで上げるとハスキーな声になります。

とあります。

 

Breathinessは使いにくい?

このオートメーション、実はVocaloid Editorにも旧piapro studioにもあるパラメーターですが、いじったことがない方がほとんどなのではないでしょうか?

理由として一つ、「効果が極端すぎる」という点があるかと思います。

いじってみると、たしかに「息っぽさ」を調整できますが、ザラザラしたノイズが乗ったような声質になってしまうので、せっかくのかわいい歌声が台無しになるじゃないか!と、私は今まで使ってきませんでした。

ですが、ずっと残っているパラメーターなので、何か良い使い道があるはず…と考えたところ、アタック(発音の出だし)の抑揚に使えることを発見しました。


調声例

左)調声前 右)調声後

この画像のように、三角形のようなピークカーブを描きます。ピークツール・ラインツールどちらでも良いです。頂点は10%~15%ぐらいで、私は10%をよく指定しています。

中段にあるwav波形の変化に注目してください。少し狭まっているのがわかります。このような波形にすることで、発声の出だし後に少し声量が弱くなり徐々に声量が戻っていく、という発音になります。

例えば、三角形の頂点の位置をずらすことで、リリース前(発音の終わり際)に同じような効果を得ることができます。全拍を出し切ったときに、少し弱くなって声量が戻る(力が込もる)ような発音になります。


Breathinessを使うメリット

抑揚をつける、という調声方法でいえば、他に

  • Dynamics
  • Pitch Control

が挙げられますが、Dynamicsは声量だけに影響し、Pitch Controlは声質にも影響してしまいます。それに対してBreathinessは、声量を絞るときに同時に吐かれるブレス(息遣い)を表現できるため、より人に近い、自然な抑揚がつけられるようになるのです。


発音中はBreathiness、文節単位はDynamicsで抑揚を調声しよう

発音中に抑揚をつける調声をしても、トラックダウンしてみるとオケに被ってあまり効果は感じにくいかもしれませんが、かと言ってやるとやらないでは大きな違いを感じます。

また、Dynamicsはどちらかというと文節単位で、演奏記号で言えばクレッシェンド・デクレッシェンドのように大まかにオートメーションカーブを描く、と使い分けるようにすると調声に幅が出てきます。


Breathinessを使ったアタック時の抑揚の調声をぜひ試してみてください。

2021年8月11日水曜日

ハーモニーの書き方を課題曲「ドレミの歌」で解説してみた

ハーモニーを書くのは難しいのです。

主となるメロディラインに違う音を重ねて、音としてきれいな響きになるように調整しながら、新たにメロディラインを書くようなものです。

とはいえども、ある程度の定石はあります。まずは「ドレミの歌」を課題曲に、初音ミクNTで歌ってもらった動画をご覧ください。


主旋律から始まって、

  • 3度上
  • 3度下
  • 5度上
  • 5度下
  • 7度上
  • 7度下
  • 4度上

と小節毎に重ねていってるのがわかります。

さて「◯度」とはなんぞ?という話ですが、YAMAHAの音程という記事か、こちらの記事が参考になりますので、ご参照ください。


音の度数とは

ものすごくざっくり言うと「3度上とは、基準となる音から白鍵を1つ飛ばした音」で、「ド」なら「ミ」です。
ただ、長3度とか完全5度とか、ミとファ(半音と呼ばれる音で、増・減◯度とかになる)や間に黒鍵盤(シャープ・フラット)はさむとどうなの?と考え出すと悩んでしまい、そこで楽曲づくりが止まってしまうため、こういうのは単純に憶えましょう。私はそうしてます。


ハーモニーで大事なのは理屈より響き方

ハーモニーは、音を重ねれば重ねるだけよい、という訳ではありません。ア・カペラならともかく、ポップミュージックで、オケ(インスト)も重ねるとなると、効果的にハーモニーが響くとしても2~3トラックが限度でしょう。

動画ではオケなしでハーモニーを重ねていますが、7度までいくとあまりにも主旋律から音が離れすぎて、「やりすぎ感」が出てきます。

また、定石とされる「3度上・3度下」で重ねておけば万全ということでもありません。そのメロディラインと歌詞の雰囲気にあった響きになるのが正解ということです。

歌詞を聴いてもらう、印象に残してもらうのが第一なので、ときには3度上で、ここは5度上、逆に3度下にいくなど、変化や緩急をつけつつ、響きとしてきれいになるように重ねればよいと思います。


言葉や発音に応じて音程に変化を

日本語の発音は母音・子音の組み合わせなので、単語によっては音階をあえて外す方が響きがよくなったりもします。

例えば原則として「ド」を重ねるべきところを、半音下げて「シ」にした方が響きがよいなら、私はそうしてます。

なので、文節を通して「3度上」にしているところを、歌詞の言葉や発音によっては「4度上」にしたりということです。


まとめ

ハーモニーの作り方には定石はありますが、その定石に囚われずに「響き具合」を重視してみましょう。

2021年8月8日日曜日

キースイッチを課題曲「ハトと少年」で解説してみた

DTMの音源の機能に「キースイッチ」というのがあります。

キースイッチとは、その楽器で使われない音域に配置されている「音」で、「弾き方」「鳴らし方」などを指示するものです。キースイッチ=演奏記号と捉えて差し支えありません。

中には、ギターのストラミングパターンを指定したりと音源によって様々ですので、詳しくは各音源の説明を読んでみてください。


キースイッチを使った演奏例

以前の記事で紹介したMIROSLAV PHILHARMONIK 2 CEのトランペットで、課題曲「ハトと少年」を演奏してみました。まずは動画をご覧ください。

「ハトと少年」作曲:久石 譲

左側がMIDIロール、右側が音源です。

ff(フォルティシモ)に特化したトランペットもありますが、ここでは簡潔に1st Trumpet  Multiを使いました。この音源では、

  • Portato 3,0 / 2,0 / 1,5(切れ目なく)
  • Legato Fast(切れ目なく、速く)
  • Staccato mf(音を切って、メゾフォルテ・やや強く)
  • Staccato p(音を切って、ピアノ・弱く)

と、6種類の指示が出せます。キースイッチの配置は「C0~F0」にあります。

Portatoの後の数字は「音の長さ」のようです。例えば短い音符を切れ目なくつなげたいときは、Portato 1,5を指示します。

全体的にPortato 3,0で弾いていますが、短い8分音符から次の音につなげるときは、一時的にPortato 1,5にキースイッチを切り替えているのがわかるかと思います。


キースイッチで切り替えるべきタイミングは?

これも音源によりますが、私の場合はその音符と同時ではなく、1/64分手前に置いています。キースイッチの音符の長さも64分音符です。(ちなみにキースイッチ自体は音の長短は関係ありません)

MIDIロールに注目してみると、下側にドットのような点がノート(音符)の直前に置いてあるのがわかると思います。音符と同時のタイミングで置くと、キースイッチが働かない音源もあるので、いつしか1/64分手前に置くのが習慣になってました。


MIDIロールは楽譜どおりにはいかない

念頭に入れておくとすれば、MIDIロール上では楽譜そのままを表現することは難しいということです。

最近のDAWでは、MIDIロールではなく楽譜上で音符や演奏記号を書ける機能もありますが、MIDIロールに打ち込んだデータを音源が再生して出力するという構造上、楽譜通りに打ち込んでも期待した演奏にならなかったりします。

なので、そこはこだわらずに、あくまで聴こえ方やリズムが書きたい曲調に沿っているか?を基準にMIDIロールを打ち込みましょう。

2021年8月7日土曜日

DTMにMIDIキーボード(鍵盤)は必要?

DTM環境でよく見る光景がMIDIキーボードです。

画像は KORG NAUTILUS から引用

他にMIDIギターなんてあったりします。このような機材を導入しないと、DTMを始められないでしょうか?と聞かれれば、「あってもなくてもどっちでも」できます。

このような機材は、あくまで入力インターフェースであって、DTMに必須ではありません。現に私はMIDIキーボードを持っていませんが、DTMで楽曲づくりをしています。それ以前の問題で私はキーボードを弾けません…。


MIDIインターフェース(キーボード)の用途とは

では、MIDIインターフェースは何のためにあるかと言うと…

  1. MIDIの打ち込みを鍵盤を弾いて入力する
  2. 演奏をリアルタイムに録音してwavトラックにする
  3. ツマミで感覚的にオートメーションカーブを描く
ぐらいかと思います。

つまり、あくまでもインターフェースなので、入力元が鍵盤でもマウスでも、どちらでもよいのです。

例えば1.の場合、


このスクリーンショットは、マウスでMIDIデータを打ち込みしています。

画面中央にあるのがMIDIロールというもので、縦に鍵盤が並び、下から上にオクターブが上がっていきます。
そのMIDIデータの打ち込みを、マウスでやるのか鍵盤で打ち込むのかの違いです。鍵盤上のC3(3オクターブのド)を押したら、MIDIロールのC3にデータが入力される感じです。

2.は、DAWに差した音源で鳴らせるので、そのままピアノの音源で演奏したり、ギター音源をキーボードで演奏してリアルタイムに録音し、wavトラックに変換するということもできます。

3.は、オートメーションを指定するときに、インターフェースのツマミを動かして直感的にカーブを描く使い方です。オートメーションとは、徐々にフェードアウトさせる、ピッチを上げる・下げる、細かく動かしてビブラートをかける、といった演奏記号を簡単に指定できます。

オーディオデバイス内蔵タイプとは

MIDIキーボードの中には、オーディオデバイスが内蔵されているものがあります。

オーディオデバイスとは、DAWが使用する音源(楽器などではなく、文字通り音源)のことです。ほとんどのDAWでは使用中にオーディオデバイスを占有するので、例えば作曲しながら映画を観るといった同時利用ができません。

私のDTM環境では、マザーボード内蔵のWindowsオーディオデバイスとは別に、DAW用にサウンドカードを差しているので同時利用は可能ですが、オーディオデバイスも2つ無ければならない、というものでもありません。1つで十分です。


DTMは自分に合った入力方法を選べばよし

「DTMにMIDIキーボードは必須?」というと、まったく必須ではないし、あってもなくてもDTMを始められます。

こうした機材から揃えようとすると、途端にハードルが上がってしまうし、導入費用も高くつきます。


自分のDTM環境を写真に撮る時に「ちょっとDTMerっぽい映え」ぐらいの効果はあるかなとは思いますが、よくあるDTM講座で「DTM初心者に必須なMIDIキーボード」という記事があったからと言って、無理に機材を揃える必要はまったくもってありません。

まず最低限必要なのは、DAWという大元のDTMソフトだけでよし、と思ってください。

DTM(とボカロ楽曲づくり)の始め方

ひとえにDTM(Desk Top Music)を始めるには、まず何を揃えればよいでしょう?

この記事で紹介したように、後々必要になってくるものもありますが、

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まずはこれを入れてみましょう。


有償版Studio One 5 Artistがバンドルされている!

Cryptonのボーカロイドシリーズには、以前からPresonusのStudio OneというDAW(Digital Audio Workstation)がバンドルされていて、私はずっとこのDAWを使っています。

ボカロPの初期に、初音ミクV3を入れたときのStudio One 2のOEMライセンスが残っていたので、ナンバリングとしては4世代にも渡って使っています。

Studio One 2~3では、サードパーティ製のVST音源やエフェクトを入れる際に、VSTプラグインを使えるようにするためのアドオン(ややこしい)を別途購入しなければなりませんでしたが、初音ミクNTにバンドルされるバージョンでは、標準でVSTプラグインが使える最新の5で、しかも有料版のArtistなのです!

つまり、初音ミクNTだけでDTM環境が揃ってしまうわけです。
なお、Studio Oneには機能限定した無償版のPrimeというバージョンもあります。


Studio OneとCubaseの違い

ボカロ楽曲づくりで評判がよいのはSteinberg Cubaseです。YAMAHAの子会社でもあり、歌声音声ソフトVocaloid Editorとの相性がよい(CubaseのMIDI編集枠でVocaloid Editorを展開できるなど)ため、黎明期から活動されているボカロPはCubase + Vocaloid 4 Editor for Cubaseという組み合わせが多いように思います。

が、これから初音ミクのボカロPを始めてみたい!という方には、断然、初音ミクNTをオススメします。


Vocaloid Editorとpiapro studioの違い

どちらも歌声音声エンジンです。楽器音源のように声のサンプルライブラリがあり、MIDIロールに日本語を入れていくと、そのライブラリから歌声に合成して出力します。

Cryptonのボーカロイドシリーズには、先述したStudio Oneに加えてこのpiapro studioもバンドルされており、対してVocaloid EditorはYAMAHAが単体ソフトで出しています。Vocaloid 5 Editorでは標準的な歌声ライブラリ(5からボイスバンクという呼称になった)が付属していますが、基本的には別途用意する必要があります。

Vocaloid 5 Editorとpiapro studio 2までは、同じ歌声音声ライブラリ(初音ミクV4Xなど)を使えますが、piapro studio 3からは初音ミクNT専用のライブラリとなり、Vocaloid 5 EditorではNT用が使えません。

また、Vocaloid 5 Editorは、自動的に自然に歌ってくれる方向性を強めたことで、扱いが少し難しい仕様になっており、Vocaloid 4 Editorかpiapro studio 3(NT)かのどちらかに分かれているように見受けられます。


初音ミクNTをオススメする理由

単純に、Vocaloid Editorの開発が止まっている(終わっている)からです。

それに対し、正式版になったとは言えまだ開発途中ではあるものの、初音ミクNTは次世代の歌声音声ソフトと銘打っていることもあり、次々にバージョンが進化していっています。

また、これまでに述べたように、DAWと歌声音声ソフト両方ともバンドルされている、という点が大きいでしょう。

まさに「買ったその日からすぐにボカロPになれる」です。


まとめ

  • 初音ミクのボカロPとして楽曲づくりをしてみたいなら…初音ミクNT(全部揃う)
  • DTMを始めるだけなら…Studio One Prime
  • 他のボーカロイドキャラクターなら…V4Xシリーズ(全部揃う) or 歌声音声ライブラリ+Vocaloid 4 Editor for Cubase + Cubase

といった感じでしょうか。

2021年8月6日金曜日

フルオケ音源「MIROSLAV PHILHARMONIK 2 CE」の使い方

DTMでフルオーケストラ音源を入れるとなると、軽く5万超えは当たり前で、中には10万円ぐらいするものもあります。

かと言ってDAW付属のオーケストラ音源では物足りない…そこで「それなりに本格的」「お値段もお手頃」なフルオケ音源がこちら!

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上位版(CEがつかない)は65,000円ほどしますが、この下位版は約20,000円弱で買えます。私は買った3日後に70%セールになったので、血の涙を流したいわくつきの音源です。

下位版と言えども、フルオーケストラを組むのに必要な楽器が十分に揃っていて、音色もDAW付属のものと比べて高音質です。しかし、使い方が少しわかりづらいので、簡単に説明していきます。

マルチチャンネルサンプラー

MIROSLAV PHILHARMONIK 2 CEとは、16チャンネル同時出力可能ないわゆるマルチサンプラーです。これを知っておかないと、楽器ごとに同じインストを差してしまい、高負荷になるので、気をつけましょう。

一般的なフルオーケストラ配置と、チャンネル設定の画像を用意したので、参考にしてみてください。

フルオーケストラ配置の例


CHの列に、左のリストからオーケストラの楽器を選択して、埋めていきます。

フルオーケストラの配置はもう何百年も前から完成されていて、どの楽器がどのポジションなのかは、ぐっぐるなどで検索すれば図解されたものがすぐ出てくるので、そちらも参考にしてみてください。

PANはその配置をもとに左右に振ってあります。音量は曲に応じて調整しますが、高音を出す楽器やセクションの人数が大きい楽器は落とし、低音を出す楽器は落とさない、が基本になると思います。

チャンネル設定の例

続いて、チャンネル設定の例です。MIROSLAV PHILHARMONIK 2 CEでは、1パートにつき2楽器まで入れることができるので、例えばチェロとコントラバスのように、音色や音域が似た楽器でまとめるとよいでしょう。

DAW側では、OUT1-2、OUT3-4、OUT5-6…で主CH、2CH、3CH、4CH、5CH、6CH…と出力されます。また、ミキサー機能も備わっているので、リバーブやコンプレッサーをかけたマスターを出力することもできます。

指揮はキースイッチで指示

楽器は、通常「MULTI」と名称があるものを選びます。これにより、キースイッチで弾き方をMIDIロールで指定できます。

キースイッチとは、使われない音域にある鍵盤に配置されていて、例えば「14 Violins Multi」では、「C0~G1」までがキースイッチに使われます。

いわゆるSustinや、ff(フォルティシモ)、mp(メゾピアノ)など、キースイッチは演奏記号で表示されているので、これは憶えていかなければなりません。弱く鳴らしてほしいパートを強く弾いてしまっては台無しですからね。

演奏例

今つくっている楽曲はフルオーケストラで書いていて、フルオケのフの字も知らなくても、これぐらいの演奏はできる、というのをこちらから聴いてみてください。

いかがでしょうか?なんちゃって、ではありますが、フルオーケストラというだけで、いきなり壮大な感じに仕上がりますね。

まとめ

先述したように、フルオーケストラ音源は求めれば10万超えの音源もありますが、IK MultimediaのMIROSLAV PHILHARMONIK 2 CEは、アマ~セミプロレベルで使う分には非常にコスパの高いフルオーケストラ音源だと思います。

補足)VST3も対応してますが、DAWや環境によってはうまく動かない(特定の音が鳴らない、キースイッチが反応しない)場合もあるので、そのときはVST2を差してみてください。私はVST3だと不具合があったので、VST2で使っています。

2021年8月4日水曜日

コード音がすぐ分かる便利アプリ「Chordman!!」

楽曲作りには「コード」がつきものです。基本は3つ以上の音を重ねるとコード(=和音)になります。

私でもC Majorぐらいなら「ド・ミ・ソ」と憶えてますし、メジャーコードは基本的に白鍵を1個飛ばす…までは憶えてますが、黒鍵が間に入ると、さてどうでしょう?

例に出したC Majorをなぞるなら、D Majorは「レ・ファ・ラ」じゃない?と思いきや「レ・ファ#・ラ」なんですよね。「レ・ファ・ラ」だとD Minorになります。

さらにmin7、Sus4、Major 7、Dim…になってくると、もうどの音が含まれてるのかわからなくなりませんか?私はわかりません。


ギターだとコードの押さえ方で憶えてたりしますが、例えばC Majorだと…

  ギターライフ「Cメジャーコード(C)の押さえ方」より引用

このように押さえますが、実はどの音が鳴ってるのか私よくわかってません。

ちなみに、これはローコードの押さえ方で、音は図の左から「ド・ミ・ソ(開放弦)・ド・ミ(開放弦)」が鳴ってます。


コードに含まれる音を知っておくべき理由は主に、

コードからメロディラインを書く

または

メロディラインからコード進行を決める

からです。

もちろん、コード内の音でメロディを書かなければならない、というルールはありませんが、同じ音域なのでメロディがオケに馴染みますし、このパートはこのコードだからこの音を使う、というように音階を限定するので、メロディラインを書きやすくなります。

コード外の音でメロディを書くと、いわゆる不協和音になってしまい、演出として意表を突くこともできますが、得てしてぎこちない聴こえ方になります。


以上の点からコード音を憶えておくのは楽曲づくりに必要不可欠ですが、コード自体が数多くあるため、とても全て(のコードの基準・ルール)は憶えきれません。


そんなときは、コードに含まれる音を調べたいときに便利なアプリがあるので使いましょう!(Windows版)

ボタンを押すだけでコードが鳴らせる
コードマン(chordman)
リンク先はVectorに飛びます

画像はVectorより引用

このようなコード早見表アプリは、スマートフォンでよく見かけますし、実際にスマートフォンのアプリから調べながらPCのDAWでMIDIを打っていく、ということをやっていましたが、このアプリのおかげでPC上ですぐに調べることができるようになりました。

正直、コード音を鳴らす機能は不要だと思いますが、なんと言ってもピアノ鍵盤に目的のコード音をわかりやすく表示してくれるのが助かります。MIDIの打ち込みは、基本的にMIDIロール(ピアノ鍵盤を縦にしたアレ)ですし。


先の記事で紹介したソフト音源には、例えばC Majorを指定したらそのコードで鳴ってくれるという便利な機能がついてますが、メロディラインやギターソロ、主旋律を書くときは、コード音をもとに手動(というのもおかしな話ですが)で書かなければなりません。

なんとなくコードを並べてなんとなくメロディを書く、から脱却して、コードに沿ったメロディ・メロディに沿ったコードを書くようになると、全体が馴染む曲づくりができると思います。

ぜひ活用してみてください。

2021年8月3日火曜日

パターンを選ぶだけ!超お手軽ドラム音源「MT Power Drum Kit 2」

今回は私は愛用しているVSTのドラム音源「MT Power Drum Kit 2」を動画つきで紹介します。

Multi Layer Drum Sampler AU / VST Instrument
MT Power Drum Kit 2

私が音源を選ぶ条件に、

  • プリセット(パターン)の組み合わせが自由で豊富である
  • MIDIロールにD&Dできる
  • 手軽で簡単である
がありますが、この音源には全て揃っており、かつドラムの音色も好みなので、ずっと使っています。

まずはイントロ+8小節分のドラムの打ち込みを、実際につくってみた解説動画をご覧ください。(約10分)



  1. DAWのインストに挿します
  2. 打ち込みパターンを選びます
  3. DAWにD&DしてMIDIロールに落とします
基本はたったこれだけで、ドラムの打ち込みパターンが出来上がります。

特徴は、マルチチャンネルサンプラーでもあるので、各音色ごとに出力チャンネルを指定できることです。私の場合は、バスドラム・スネア・ハイハット(シンバル)・タムで4ch出力し、それぞれにEQやCompをかけたり、ボリューム調整しています。

似たような性能では、ToontrackのEZDrumがありますが、このMT Power Drum Kit 2はいわゆるドネーションウェアといって、フリーではありますが気に入ったら寄附してねというものです。私は気に入ったので、寄附しました。ドネーション額は1,200円からです。なんてお安い!

ドネーションしていなくても、スプラッシュが最初に表示されてスタートボタンを押さないといけない(手間)があるだけで、全ての機能を使えます。

バンドサウンドに必須なドラム音源ですが、ドラムを叩いたことがない人(私)やドラムの打ち込み方がわからない人(私)にとっては、とても手軽かつプロのようなリズムを刻める、このMT Power Drum Kit 2を試してみてはいかがでしょうか。


2021年8月1日日曜日

ボカロP活動報告(2020年4月~2021年6月)

2020年4月25日に1stアルバム「DISTANCE」をリリースしてから、2021年5月1日にリリースした19thシングル「* - flower -」までの売上をまとめました。

ただし、売上レポートをそのまま開示するのは契約上禁止事項のため、独自に集計したものになります。

サブスクリプション=いわゆる再生数
楽曲・アルバム=購入数
映像=YouTube Musicでの再生数


月別

2021年4~6月がちょっと落ちてます。18、19thシングルをリリースした期間なので、売上増を期待していたのですが、結果は芳しくなかったようです…7月に2ndアルバム「For」をリリースしており、次の四半期売上に期待したいのでアルバムを買って下さい!(直球)

配信ストア別

配信ストア別では、Spotifyの強さが際立ちます。次いでamazon music(Unlimited含む)、Apple Musicといったところでしょうか。

ただ、amazon musicだとシングル1曲のみでは配信されないケースがあるので、少なくとも2曲以上のEPでリリースするのをおすすめします。

Missing+Tearsはクレームを入れて配信されるようになりましたが、* - flower -はいまだ配信されてません。

曲別

3曲入りEP(Microphone~Connect)がサブスクと映像(YouTube Music)で分かれていますが、おそらくクリプトン社のYouTube収益化(6月1日より)の方針について発表されたことで、初音ミク公式チャンネルに私の楽曲が登録されての影響なのでは、と見てますが、時期が四半期分前倒しになっているので、原因はわかりません。

また、アルバムを購入いただいたという事実は、ボカロPにとっては言葉で言い表せないほど、ものすごく励みになります。

まとめ

1年間で全19曲をリリースし、24万近くのサブスク再生があったのは、率直に嬉しく感じています。

中には1曲だけで100万~1,000万再生というのも見かけますが、なにしろ楽譜も読めない五線譜はドレミのドから数える(Play!という曲でそんな歌詞ありますが、これリアルです)ほど、音楽知識がない私がボカロPとして初音ミクというブランディングを借りながらも、これだけの再生数をいただいたのは感謝に絶えません。

改めてありがとうございます。

今後も、初音ミクのボカロPとして、「音楽の知識はないけど音楽は楽しむもの」を主眼に活動して参りますので、現在リリース中の2ndアルバム「For feat. Hatsune Miku」を、右側のamazon広告から買っていただくと、売上もアフィも私のところに入るので買って下さい!(ド直球)